最近出版された早川紀代秀の「私にとってオウムとは何だったのか」を読んだ。

アマゾンのコメントなどを見ると早川に同情的なコメントがあるが、私は、全く逆に読んだ。この本は、早川が林郁夫の例を真似して、情状酌量を得ようとしている書物であると読んだ。本には、彼の犯罪に関わる本当に重要なことは何も書かれていない。主観的な体験ばかりで、客観的な事実について書かれているのがほとんどない。彼がどんな修行をしたかといった話ばかりで、そんなことはどうでもいいし、それが社会からどう見られるかという目線がまったく保たれていない。

例えば、ブータン、スリランカ、ザイールなどでの土地取得や要人との会談をどういったルートでどのような経緯で実現したのだ。 また、創価学会の建物内部の平面図をどうやって入手したのか。93年のヘリコプター購入の話にしても、どこからどう購入したのか全く書かれていない。ヘリコプターは最初からサリンか炭疽菌噴霧のために購入したに違いないが、早川はレーザー砲を搭載する目的と話を変えている。本の各所に自分の関わったことは、とにかくサリン事件には全く関わりのないというストーリ展開が読み取れる。ロシア射撃ツアーを観光ビジネスとして立ち上げようとしたというが、自分たちでそのためにわざわざいく必要もないだろう。何か隠している。

また、坂本事件の現場で、どういう風に殺害したかについても、詳細な説明が全くない。自分が罪に問われる核心部分を全て逃げている。誰をどう締めてどう殺したのだ。なぜ書かない。書かないのなら、情状狙いの書籍であるとしか読めない。強い怒りを覚える。

早川が一番語らなければいけないのは、海外との関係を具体的にどうやって築いていったかだろう。ハズブラーフ議長、ルツコイ副大統領、ロボフ元経済大臣、ロシア正教ナンバー2などのロシア関係を設定したコンサルタント会社の社長とは誰なのだ。その社長を紹介した人物とは誰だ。そういったことを書かない早川の洗脳が解けているなどと、騙されてはいけない。共著の川村邦光教授は宗教学者ということだが、洗脳に関しては、論外の素人なので、早川に軽くだまされたのだろう。

また、井上嘉浩も同じような手記を書いているという話を、東京拘置所関係者から聞いたことがある。その内容は、私は直接は見ていないものの、やはり、教義とか宗教的な覚醒体験などが中心で、具体的な犯行事実については書かれていないという話を聞いている。自分たちが一番都合が悪い部分についての事実を書かないというのは、やはり、情状狙いで、とても洗脳が解けているとは思えない。

この早川の著書に関しては、坂本事件や、ロシアとの関係に関わる詳細のみならず、早川と北朝鮮との関係などのいくつかの重要な疑惑についても一切無視している。こんな不十分な説明を丸のみして、謝罪をしている、していないという議論ばかりしている川村邦光という宗教学者は、のー天気といわれてもしょうがないだろう。

林郁夫は事実情報に関しては、かなり赤裸々に書いていたが、早川はあまりに、事実を隠している。とはいうものの、早川は死刑になる前に話したいことはあるのだと思う。こうなったら、私が話を聞こう。私が早川に直接手紙を書いて聞くことにする。私自身が東京拘置所に書簡を送るので、私の書簡に返答するか、もっと詳細なことを別な書物に書くべきだ。

この本は、山本 譲司 (著)の「獄窓記」がベストセラーになったので、二匹目のドジョウを狙うポプラ社が仕掛けたのだろが、オウムの場合は、犯罪のレベルが全然違う。早川の本となると、彼の情状狙いの道具とするべきではない。因みに獄窓記にも一部内容に疑問があるという情報がある。これについては、後日詳細をアップする。

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