今年の2月ぐらいに、永田議員のメール問題の時に、ブログに、「そういえば、署名広告は、私の知財なんだけど、堀江君」という記事を書いたのが、結構色々なところで反響を呼んだというのを最近聞いた。実際、関連特許を何件か申請しているし、まあ、審査請求して認められるか否かはなんとも言えないし、認められたところで、現実、どういうふうにその特許が実運用として意味を持つかもなんとも言えないところだけど。ただ、過去に、「署名広告システム」は結構なコストをかけて開発したのは事実。単にちょっと考えたアイデアをさらっと特許だけ出して、ゴネてみたいに言われているらしくて、それは心外。3バージョンの実システムを会社でかなりの資金を投入して開発している。特許申請は実商用運用時用の防衛特許という意味合いが大きい。 営業部門が色々営業して、説明に言った先の中で、同様なことを堂々と始めたところもあって、そういうところには、文句も言いたい気持ちはあるので、決して、ただのジョークというわけではないけど、別にライブドアがどうというような話ではない。 話のネタぐらいに思ってもらえばいいところ。 

 

特に、堀江君は個人的な知り合いだから、永田メールの話題のひとつの核心がテレビをみたら堀江君の署名の正否になっていたから、ネタにしただけ。堀江君がうちの署名広告システム使ってたら簡単に真贋が判定できてたから。それをカンカンガクガクだけでなく、かなり方向性のズレた中傷もされたようで、ちょっと困惑。ただ、実のところは、「知財」といったのは本当に知財部分もあるのは、事実。これは、特許のことと思っている人がネットに多いらしいけど、特許は申請中で、まだ審査請求さえしていないから、「知財」ではない。何が「知財」なのかというと、「知的財産」という概念のひとつにある、「営業秘密」がこの案件には結構あるのは事実。もともと、署名広告システムというのは、例えば、トヨタとかのバナーなどを、メールの署名に設定してもらって、それの入ったメールを送ってくれた人には、例えばそのメールが読まれる(もしくは、バナーがワンクリックされたりする)と取れる25円の広告料金の5円をメール送信者にバックしますよというシステム。勿論、申請特許では、あたりまえだけど、とりあえず遙かに広範なことを書いているけど、実開発されたシステムはこんな感じ。導入先実績もある。これで、一日200通メール出すひとには、毎日1000円お小遣いが入るわけだからいいでしょう。ネット代ぐらいは余裕で出る。ただ、こういうシステムですぐ問題になるのは、インチキするひとが必ずいそうだということ。友達同士50人でお互い1000通づつメール送りあって一人5000円ずつ稼ぐとか。こういうのを防ぐのに、色々な方法を考案して、実際開発したわけ。それが「知財」、「営業秘密」。それがないと、怖くて実運用はできない。また、ファイアーウォールをどうして通すかとか色々その他にも「営業秘密」知財がある。勿論、これらに関わるソフトウェアの「著作権」もそうだけど。私の会社は色々な人が入っては、辞めたり、(問題があってクビになったり)していて、最初から知財を盗むため、偽りの履歴書で入社した人まで発見されことまであったりで、どこもそうだと思うけど、中にはそういう知財を持ち出している人たちもいるのは事実。現在も別件でそういう問題をひとつ抱えている。

 

ただ、堀江君の署名話はネタとして理解してもらえればOK。でも、1)技術情報開示を受けたのに、NDAを色々な理由でゴネて結んでくれてないで、ちょっとしたら同様なことをやる会社; 2)会社の知財を持ち出して、別なところで商売にしている元社員、役員、コンサルタント達には、そういうことはやめて欲しいと思っているのは事実。

 

 社会風潮として、広い意味での「知財」はもっと大切にしようよと言いたいのは事実。我々技術を開発する会社は、いわゆる財務型会社と違って、技術開発のコストとリスクが大きいから、知財を尊重してくれない社会では生きていけないから。

 

コグニティブリサーチラボの前身のコグニティブ・リサーチ・ラボラトリィズが遂行した政府プロジェクト、次世代統合型ネットモバイルオンラインスーパーの実証事業」というのは、1997年に、当時コンビニ大手I社のシステム関連部門のトップだった友人のI氏と私で、私の会社とI社の共同実証実験プロジェクトとして通産省に提案した事業。私のアイデアで、楽天あたりが出来て間もない頃、オリジナルの米Yahoo Storeの開発者とかと私が交友があったから「ネットでモノを買うと、それが楽天みたいに自宅に送られるのではなく最寄りのコンビニに送られてくる、決済もコンビニでできる便利なネットショップ」のオンラインモールを構築してI社コンビニで実証実験をしようという話。 勿論、ユーザ毎のマイページHTMLをリアルタイム動的生成とか、認証・決済用の二次元バーコード生成とか当時としては斬新な、色々な技術的話題も盛り込んだけど。通産の予算が通ったあとに、突然I氏は部門を離れることになり(解任かもしれない)、I社の後任の人からは、「当社ではこういうネットでモノを売るようなことは会社の体質からできない、特にコンビニでネットで買った商品を決済というのは当社の体質とは合わない、トップが許さない」とお断りされて、「どうしてもやりたいならam・pmさんを紹介する」とまで言われた。カチンと来たけど、I氏に迷惑をかけたくないのと、何かお家の事情がありそうだという雰囲気を読んで、私はそのまま引き下がったけど、内心は、「すでに通産の予算通ったのにどうしてくれるんだ」と大分頭にきたのは事実。しょうがないから、通産省に事情を説明して、実証実験は単独で行った。そうしたら、しばらくしてI社さんは、コンビニで受け取るネットショッピングを独自で始めていた。今もあるでしょ。誰でもそんなことは考えつくといえば考えつくから、それは独自に考えていたというのだろうけど。 それでも、1997年当時のI社がそんなことはまったく考えていなかったのは事実。でなかったら最初に話しに乗らないでしょう。また、通産に提出した詳細な機能設計書をI社にも渡したのも事実。政府予算だと知財を国が50%持つことになるのが気に入らなくて、ドタキャンだったのかも知れないけど。

 

こんな話は、長年研究開発していると他にもいくらでもある。だから、署名広告ネタも、あまり、マジに侃侃諤諤やらなくていいから、文化的に広い意味で「知財」をもっと大切にしようよ、という本意を汲んで欲しい。