現在、計画停電で首都圏住民は不便を強いられている。50Hz地域の国民の節電努力によって現況では計画停電はかなり避けられているが、この夏の電力需要のピークでは、1,000万キロワットレベルの電力不足が首都圏で予想され大規模な計画停電が避けられない見込みである。

また、不便という話を超えて、これだけ大規模な電気不足が国民経済に及ぼしている悪影響ははかり知れない。

ここで、政権に以下を提案する。

夏の需要ピークまでに、首都圏の計画停電を予定している地域への送電を、60Hzで開始する。 中期的には、日本全国の電気を60Hzで統一する。

これは、電力会社側の作業のみでまかなえる。関西電力などの60Hz発電所から、首都圏の計画停電予定地域にそのまま送電するだけである。

夏の需要ピークまで3ヶ月以上あり、今から準備すれば、東京電力や東北電力の発電施設の復旧を待つよりもはるかに現実的である。特に、福島第一、第二原発は、今後も再発電はあり得ないと見込まれるので、1,000万キロワットオーダの失った電力を東電の枠組のみで3ヶ月で回復するのを期待するのは現実的ではない。

現在売られている家電機器は大体「ヘルツフリー」(50/60Hz両対応)である。つまり、首都圏の家電機器も60Hzでも対応可能である。もしも古い家電機器で50Hz専用のものがある家庭があったとして、真夏にエアコンも扇風機も冷蔵庫も動かなくなる停電よりは、ヘルツフリー機種への買換えを選ぶだろう。もちろん、その購入費は、税金から全額控除するなどすれば、買換で消費を喚起することはあっても、不便は少ないはずだ。もちろん、国か地方公共団体が、60Hzに変更する地域に購入チケットを配るなどしてもいいだろう。私自身は、日立、東芝などの福島第一原発を作った企業に、60Hz変更地域の家庭に対して、ヘルツフリー家電を旧式の家電機器と交換するように国民が協力依頼すればいいと思う。もちろん、松下やシャープなどの原発事故と関係ない企業も、これだけの非常事態であるから、協力してくれるだろう。そして順次、東京電力の配電地域を全て60Hzにしてしまうのがいいだろう。これから福島第一、第二に代わる発電設備を建設していくのも、最初から60Hzでやればいい。

また、原理的に言って、50Hz地域の東京で60Hzを流すことのリスクは低い。家電機器で周波数依存が考えられるのは電子レンジぐらいだが、現実には現在売られている電子レンジは、ほぼヘルツフリーであるし、電子レンジは1万円程度の価格なので、60Hz移行地域の電気料を一律1万円割引するなどの施策でもいいのではないか。また、ヘルツフリーでない電子レンジを継続して使ってしまった場合も、加熱がうまく出来ないだけで、火災などのリスクはない。

少なくとも、エアコン、扇風機、エレベーターが止まった熱暑を毎日何時間も過ごすことになるよりは、遙かにいい。

ただ、工場などでは50Hz依存の産業機器や工作機器が多数存在していることが考えられるので、こういった地域への50Hz伝送は短期的には当面確保し、60Hzへの移行の税制上の優遇措置や補助金などで、中期的には機器の60Hz移行を進めるべきであろう。住宅地域での60Hz移行の問題はほぼないと考えられるので、都内の住宅密集地域から60Hz化を進めていくという施策も考えられる。

恐らく、変電設備がどうのとか、色々な言い訳をして抵抗するのは、電力会社各社だろう。例えば、私の著書に書いたことがあるが、米グーグルそのものや、日本のメガバンクのデータなどを預かっている米巨大サーバーホスティング企業などは、カナダ国境近くの二つの水力発電所の中間地点に巨大サーバーセンターを置いている。アメリカでは発電所毎に電気代を決められるので、二つの水力発電所の安い方から電気を買っているのだ。もちろん、二つの発電所から供給を受けることで、有事の際のリスクを減らす意味もある。

これは、東京電力と関西電力の周波数が同じになれば、トヨタなどの企業が、東電と関電のより電気料金の安い方から電気を購入できることになる。つまり、自由競争の原理で電気代が下がる。国民にとっては歓迎すべきことであるし、アメリカなどでは、これがあたり前だが、利権国家の日本では、これに真っ先に電力会社経営陣とその息のかかった御用政治家達が反対するだろう。あれだけ、問題だらけだった原発の安全基準の違反を違法とする法律さえもが立法できなかった日本だ。御用学者達も同様なことを言うかも知れない。

明治時代に東京と関西で、ドイツ型とアメリカ型で発電機が違ったからなどという子供だましの理由で、いまだに、一つの国で二つの周波数を分けているのは日本ぐらいだ。大きなナショナルリスクであるのは今回証明された。それなのに続けられているのは、大手電力会社どうしが自由競争をしないで、電力価格を高く維持できるからだ。もちろん、電力会社はテレビなどの世論をつくるメディア企業の大手スポンサーであり、各政党のスポンサーであるので放っておいても変わらない。

事実、現在首都圏民が計画停電を強いられているのは、冬のピークと夏のピークの間の電力需要が低いこの時期、東京電力が、火力発電所を定期点検名目で休止し、その間、不足電力を東北電力から安く買い、高く東京都民に売ることで利ザヤを稼いでいたからだ。消費者は直接東北電力からは買えない。それが東北電力からの送電が止まり、福島第一、第二原発が止まったから東電の電力が不足になった。それなら、火力発電所の検査などは、すぐにやめてもリスクはないのだから、休止をやめてフル稼働をすればいいのだが、恐らくコストがかかり経営を圧迫するために、首都圏民に節電と計画停電を強いている。

このような利潤最優先の電力会社が、電力の購入先の自由化に結びつくような、日本全国の周波数統一には、強く抵抗することが容易に予想される。だからといって国民に、節電や計画停電を長期間強いるのは、本末転倒である。国民の投票行動で示すのがいい。例えば、今回の東京都知事選で、東京の電源周波数を60Hzにすると宣言する候補に投票するというのはどうか。

また、地元の国会議員にも、皆さんが日本全国の電源周波数を60Hzに統一せよと強く働きかけ、選挙での投票行動でその意志を示して欲しい。日本国の電源周波数を決めるのは電力会社経営者ではなく、国民だ。

民主党政権は、国民に約束したように、このような自民党時代の悪しき利権は裁ち切り、電力価格にも自由競争の原理を導入し、もちろん、この夏の停電は徹底的に避けるべきである。