http://corporate.coincheck.com/2018/01/28/30.html
因みに現在XEM価格は上がっている。全額返済というニュースがプラスに働いたからだろうが、これは、被害者は機会損失と感じるだろう。もしも円で返すならば、取得価格の荷重平均(一度に取得してない場合もある)、または、返済時の市場価格のどちらか高い方としなければ、投資家保護の観点からはおかしいだろう。ただ私は円ではなくXEMで返さなければ憲法違反と思う。これは後に書く。
仮想通貨だから損した人は自己責任みたいな声も聞くがこれは間違い。市場価格の下落ならそうだが、預けてある販売所から不正喪失したものは、全く所有者の自己責任に当てはまらない。
重要なのは、今日の新聞各紙の返金という記事などで、この問題は終わったという風潮を作らないことである。最低でも以下は、金融庁とコインチェック社内で徹底した調査をし、国民が納得する報告が出なければ、日本での健全な仮想通貨の発展は望めない。
1. 不正流出ルートの解明。ハッキングか否か。ハッキングならその方法
2. 通常社内の協力者の存在が想定される事態であり、不正流出協力者はいなかったのか
3. 大学生でも出来るコールドウォレット化やマルチシグをあえてやらなかった判断経緯
4. 不正検知後も長時間ネットから遮断しなかった事態と判断の詳細
5. そして当然だが、不正送金の行き先の解明。これは金融庁とNEM財団がやるべきだ
結果として、試算すれば、コインチェック社は460億円返済してもこれは雑損であり、損金で落とせる。大量保有しているXEMを市場価格で売り、88.549円で返せば差益まで出る。その後のXEM価格の上昇からも、ハッキングで喪失したおかげで、コインチェックは差益がかなり出る可能性がある。特に不正送金額が戻ればぼろ儲けになる。こういう絵を許せば真っ当な経済活動と社会が受け入れるのは難しくなる。
元々仮想通貨は当初の発行者には原価事実上ゼロの中央銀行にしか許されない発行利益がある。またそこから底値で大量に仕入れたものを不特定多数、今回の場合は26万人の一般市民に10万円とかで売っているビジネスが販売所である。いわゆる企業活動の資金調達の資本金調達に当たるようなICOとは根本的に違う。ICOは企業活動がその通貨発行差益に対応する純資産に見合う付加価値を生むという新しい資本主義の一つの形だ。これと、底値で、それも多くの場合、競争原理の働かない外国企業との排他的契約で仕入れた仮想通貨を、テレビCMなどで需要を煽り高く売り捌く商売と一緒にしてはいけない。そういう商売だからこそ、ポンと460億円出せるのだ。
今回、26万人の被害者は強制的に88.549円で利益確定させられた (もちろん損が確定した人もいる) 。自身の持つ資産の含み価値を任意のタイミングで健在化させるか否かは、国民が自由に選べる権利である。今回のコインチェックの判断は、よくやったと評価が高いようだが、私は違う。もしも金融庁の指導であったとしたら問題である。一方的にコインチェックが26万人との話し合いも行政の指導もなく決めてたとしたら、もっと問題である。強制的な利益確定による含み益の健在化は、日本国憲法の財産権の侵害である。もちろん一方的な価格決定も同様である。
実際、これにより、26万人のXEM保有者は来年の確定申告で雑所得申告の義務が一律に発生した。これが財産の保有者である26万人の意思に関係なく、一方的に決まったのである。金融庁や国税庁の判断ならまだしも、一民間企業がやるのは論外だ。本来は公共の福祉という論理で国会でしか決められない財産権の侵害だ。
正しくは、コインチェックが自ら保有するXEMもしくは市場から購入してXEMを保有数正確に戻すことだ。これ以外あってはいけない。
今日の朝刊は各紙どこも問題にしてない。国民の財産権をどう思っているのだ。これは、国会で問題にすべき将来に渡っての前例となる大きな問題だ。