現在募集中の今月の高次脳特別クラスのテーマのひとつにも入っている『英語脳のつくり方』で必ず出てくる、クリティカルエージの話題ですが、クリティカルエージとは何か、そのようなものが本当にあるのかという質問を沢山受けました。その質問のひとつに、最近の外国語教育の研究の成果により、成人になってからの外国語習得が過去に比べ成功している例があり、クリティカルエージはないのではないかというような質問がありました。

まず、基本となるお答えは、それらの最近の(恐らく米国あたりの)、外国語教育が成功しているのは、ひとつには、あくまでも外国語教育としてのノウハウが優れてきたからであると推測されるということです。クリティカルエージを克服しないと、外国語が上手にならないというわけではないのです。クリティカルエージを克服しないとネーティブスピーカにならないと言っているのです。ですからクリティカルエージバリアに一切干渉しないで、外国語が上手になることがある可能性を否定しているわけではありません。ネーティブスピーカという言葉は、曖昧な言葉ですので、クラスで正確に定義しますが、簡単にいえば、例えば、シンタクティック機能、いわば文法を、SVO(NP-VP-NP)などの文法ルールを暗記することなく、自然に習得した人たちです。私たちが日本語を文法ルールを学ばずに学んだのと同様です。これが重要なのは、例えば、正しい文法であっても、ネーティブスピーカでは決して発話しない文章(統語論でいう*文章)が大量に生成されるという点です。逆に、言語学者でさえ文法解析が、侃々諤々、決められない自然言語もあるわけです。ですから文法を丸暗記というような方式では、文法的に正しくてもネーティブスピーカでは決して言わないような文章が無限に生成されてしまうのです。

第2に、もちろん、米国の一部の研究機関の成果として、私が教えているクリティカルエージバリアの克服法と同様な成果が上がっているのは事実ですから、そういったノウハウを取り入れた民間教育機関が最近あるとすれば、まさに、米国あたりでは成功している例が報告されているのは当然でしょう。当然、私が工夫したクリティカルエージ克服のメソッド以外に有効なメソッドが他に存在することを否定するものではありません。ただ、私の知識では、少なくとも日本国内では、他に存在していません。

ところで、クリティカルエージ現象の存在は、1980年代後半以降、神経回路網の非線形数理モデルの研究からますますその可能性が確実になってきています。これについては、クラスではある程度詳細に説明しますが、神経回路網の可塑性と並列的に、構造化情報の学習時に必ず学習済みネットワークの固定化が不可避的に確認されるからです。また、クラスで特に説明するのは、こういった物理信号レベルにおける抽象度のクリティカルエージ現象のみならず、高い抽象度の高次脳レベル機能におけるクリティカルエージ現象の存在とその必然性です。そして、私が工夫したその克服法です。

『英語脳のつくり方』クラスで指導しているのは、外国語なのにネーティブ「並み」に上手になるための方法論ではなく、英語をネーティブスピーカとして、つまり母国語として成人してから運用するための方法論です。 クリティカルエージ克服法を初めとする『英語脳メソッド』は、方法論が多岐にわたるため、今月のクラスでも、『英語脳』カリキュラムが組み込まれており、過去2ヶ月間のクラスとは異なるアプローチにチャレンジします。